【あなたの会社は大丈夫?】逆パワハラとは?抑えるべきポイントを解説します!

2020年12月12日

「逆パワハラ」という言葉をご存知でしょうか?
実は最近、ご相談が増えているテーマの一つです。

今回はこの「逆パワハラ」について解説をしていきます!

逆パワハラとは

「逆パワハラ」の捉え方

逆パワハラは、法律で定義されている言葉ではありませんので、色々な捉え方があるようです。共通的な部分は「業務上、必要かつ相当な上司からの指示や注意に対しても『それ、パワハラです』、『訴えますよ』などと“パワハラ”というワードをちらつかせて、業務を拒否したり、指示を無視したりすること」というところでしょうか。

ネットを見ていると、「上司が部下に」行うのがパワハラで、「部下が上司に」行うのが逆パワハラだという記載が目につきますが、これはちょっと違うように思います。と言うのも、厚生労働省のパワハラ指針には、パワハラの定義の要素である「優越的な関係を背景とした言動」の中に、以下のような部下の言動も含まれることが明記されています。

・部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの

 【参考】厚生労働省リーフレット
     「2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!」

つまり、もともとパワハラは「上司が部下に」行うものだけではなく、上記のような優越性があれば「部下が上司に」行うものもパワハラだと言っている訳です。

「逆パワハラ」の正体とは

それでは、改めて逆パワハラとは何でしょうか? 私が考えるには、弱者の立場を濫用して、「お前はパワハラ加害者だ!」と相手を不当に糾弾するハラスメントではないかと考えます。ネットスラングで“ポリコレ棒”という言葉があります。“ポリコレ”はポリティカル・コレクトの略で、「政治的正しさ」 と訳され“年齢や職業、性別、宗教、人種などで差別・偏見を受けることがないような表現”を意味しています。しかし、このポリコレの考えが行き過ぎて独善的に他人を攻撃する様子から「ポリコレは他人を攻撃するための棒の様だ」となり、ポリコレ棒という言葉が生まれました。誰だって、「お前は差別主義者だ」、「あなたは偏見を持っている」とは言われたくないですよね。“ハラスメント”という言葉自体がパワーになり得ることを、私達は自覚する必要がありそうです。

ポリコレ棒

逆パワハラが起こる原因はなに?

この逆パワハラについても、前回のブログで書いた“価値観の違い”が大きく影響をしていると思われます。

  ブログ:「パワハラの拡大解釈は危険? グレーゾーンの考え方」

“職務上の地位”等のパワーのある方が自分の価値観だけを押し通し、相手の価値観を認めない場合はパワハラになります。(例:「俺が上司なんだから俺のやり方に従え!」)

これに対し、パワーのない方が自分の価値観だけを押し通し、相手の価値観を認めなければ冒頭の例のように逆パワハラになる可能性があります。

つまりどちらも問題の根っこは同じで、相手の持っている価値観を尊重せず、自分の価値観のみが正しいと思い込む姿勢にあります。そのため、パワハラも逆パワハラも、防止の方法は同じで、相手としっかりコミュニケーションをとり、お互いに理解を深めることが大切です。

価値観の押し付け合い

逆パワハラをどうやって対策する?

それでは、会社としては逆パワハラの問題にどのように対処すればいいでしょうか。

確信犯タイプとうっかり逆パワハラタイプで対処の方法は異なります。

まず、確信犯タイプですが、これはパワハラの定義を理解しており、「本当はパワハラではない」ことを理解しているにもかかわらず、パワハラを悪用するタイプです。当然のことながら、労働者には「指揮命令に従う義務」があり、それを果たしていないことになりますので、ルール違反として度重なれば懲戒処分等も含め処分を検討する必要があります。

一方、うっかり逆パワハラタイプは、パワハラについてきちんとした知識を持っておらず、ネット等で流れている誤った情報を鵜呑みにして、業務上、必要かつ相当な上司からの指示や注意に対しても「それ、パワハラです」と言ってしまうタイプです。このタイプに対しては、ハラスメントの知識教育を行い、上司の言動はパワハラではないことを丁寧に説明する必要があります。このタイプの逆パワハラを予防するためにも、一般社員へのハラスメント研修は重要です。ハラスメント研修を管理職のみに行う会社も多いですが、一般社員も、ハラスメントに関する誤った情報を払しょくし、正しい知識を持つことが求められます。

ハラスメント研修

まとめ

価値観が多様化に伴い、逆パワハラの問題は増える可能性があります。防止・対策のためのポイントをまとめます。

  1. 管理職だけではなく、一般社員にもハラスメント防止研修を行い、パワハラに関する正しい知識を持ってもらう
  2. パワハラを悪用する確信犯タイプに対しては、ルールに則り厳正に対処する
  3. コミュニケーションの活性化や円滑化のために研修等の必要な取り組みを行う